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この身ひとつを差し出す代わりに、私のことを信じてほしい。

by ほしゆき

旅先で宿を探すとき、それが地球のどんな場所でもiphone1つで寝床を確保できるような時代に生きている。

本当に、こんなに便利なことはなくて、こんなに安心なこともない。

だけどこんなに心強い保険があるからこそ、もっと自由に好きな方法で旅を楽しまなくてはもったいないのだと私は思う。

このご時世、「何がしたいか」「何が好きか?」という自分の心でスタートして、それを可能にしてくれるツールは山ほどある。それがメジャーか、そうでないかに差はあっても、情報収集だってiphone1つあるだけで随分助かってしまう。

私が知らない土地に一人で降り立った時、最大の敵は「さみしさ」

これに尽きる。本当に心底。(笑)

だから私は「帰る場所」をつくることを最優先に動いていて、東京みたいな観光都市にはまるで興味がない。トロントに居たのにナイアガラの滝すら観に行っていないくらい(笑)

「観光名所」は毎日人が多くて、観光客の方が圧倒的に多くて、かつ機械的な手を加えられた場所であることが多いから

よっぽど行きたい場所でない限り空港以外の用では大都市には行かないことが多い。

「帰る場所」をつくるために、「泊まる場所」じゃなくて「住む場所」が欲しい。

なるべく交流のとりやすいドミトリーやシェアハウスに泊まったりしていたのだけど

やっぱりそれは泊まる場所以上にはならなくて、

キーカードや防犯カメラで安全を管理したり、宿泊者同士のコミュニケーションは楽しいけれどそれ以上になることは少なくて

今まであったことのない人と暮らすのだから、そりゃ全面的に信頼するなんて難しいし危険なのはわかるけど

住み込みで働いてみても雇主と従業員で「お金」が関わるとそれもまた面倒で

信頼していて好きな人なら、お金なんかいらないからその人のためになにかしたい。

それはただの思いやりで、お給料をもらった仕事だからじゃない。

それに、その人のことを思った行動は、お金をもらった責任での行動よりもずっと行き届いていて、喜ばれるものだったりする。

セキュリティなんて、信頼関係が成り立っていれば不要なものだ。

想いを伝えあえる相手ならば、無駄なストレスを心に貯めてまで一緒に暮らさなくていい。

私はそんな心の距離感で、人と繋がりたいわけじゃない。その程度の繋がりで、私の「さみしさ」は消えていってくれない。

『家族が欲しい。』

もう、これしかなかった。(笑)

iphoneで検索すればホームステイの情報なんていくらでも出てくるのだけど、

「ホストファミリー」が欲しいわけじゃない。私が欲しいのは「ファミリー」だけである。

こんな思いに旅先で駆られた時に、保険になるのはBooking.comだ。この最強のアプリで、作戦がうまくいかなくたって野宿は避けられる。

もうそんなのおとなしく寂しさと対峙している暇はないのだ。無敵じゃないか。

「あのーーーーーー!!!!今日、泊めていただけませんかーーー!!!!」

私が初めて「家族つくろう大作戦」をこうして言葉に出したのは、18歳の夏、富山県南砺市の畑道だった。

いつも通り畑仕事をしていたら見知らぬ女の子が、道路沿いから叫んでいる。

「なんだって、、、???????」

あの時のお父さんのあたふたした姿はずっと忘れないだろうな(笑)

「やめなさい!!!!」「殺されるよ!!!!!!」と猛反対する私の身内とは裏腹に

私は川森家のみんなとすっかり仲良くなって夏休みを過ごし、学校が始まるから、と帰らなければいけない日には畑道で大号泣していた。

声をかけたのが川森家のお父さんじゃなかったら、確かに私は危ない目に合っていたかもしれない。

出逢ったとき、顔を合わせた私とお父さんの間には、確かに何の保証もない。

雇用契約があるわけでもないし、事前にプロフィールや旅の動機を知らせていたわけでもない。

でも信じてもらいたいなら、もうこの身ひとつで信じてほしいと伝えるしかないではないか。

身分証明書なんて定食の漬物みたいなものだ。

声や目や言葉からにじみ出る「嘘をついていない」という目に見えない雰囲気や直感を信じる綱渡りの一歩を、踏み出してもらうしかない。

大げさかもしれないけど、その代わりにこちらがどれだけ心を開いて命を預けますと伝えられるかどうかだ。

だって初対面の人のテリトリーで眠りにつくって、命懸けるようなもので

同時に、見知らぬ人を自分のテリトリーに招くこともハイリスクなことに違いない。

無論、はた迷惑な試みなのである(笑)

そう思うなら、私はどれだけのことがこの人たちのためにできるだろうか。

そんな思い同士で手を繋ぎ合っていくことは出来ないだろうか。

iphoneを使えば、こんな風に人に迷惑をかけることも、綱渡りをすることもない。旅になんて出ずに、家のソファーで猫と昼寝をしていれば、命の危険性なんかこれっぽっちもない。

でもそんな人生、つまらない。

突然現れたはた迷惑な女子大生が、新しい家族になる。そんな予想だにしない面白いハプニングを一緒に笑いあって、

「ゆきはこの家の娘だよ。いつでも帰ってくるんだよ。」なんて言葉を聞く瞬間の喜びを、

知らない人同士が信じた一歩を踏み出して、手を繋ぎ合えた喜びを知ってしまったらもう

やめられないよ。(笑)

富山の川森家から始まり、どの国でも「家族作ろう大作戦」で旅をしてきた私は、確かに警察呼ばれたり、

レズビアンに襲われそうになったり小さな失敗はあるけれど

自分の好きなツールで一生懸命人を信じて、心を開いて、信じてもらって関係を築いた経験は

今の私の大きな助けになっている。

信じたいと思う直感とか、人を好きでいれる姿勢とか、目の前に居る人にどれだけ自分から心を開けるかとか

「信じること」が人生に与えてくれるパワーは偉大だ。

家族を作ろう大作戦で地球のそこら中旅して見た結果、帰る場所が多すぎて体が足りないという、幸せな悩みが訪れた。

これからも、たくさんの人たちと出逢いたい。

2017年もこんな自分の感性を大事にして生きていこう。

今年もよろしくお願いします。

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