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消費に比例して、心は病んでいく。

by ほしゆき

愛情は、誰かと共有する空間の中で生まれるもので

そこで初めて、触れ合えるものだ。

焦点をどこにも合わさずにぼんやりさせていたわたしの視界の中を、

せこせこの横切るのは

部屋干ししている洗濯物の様子を気にする祖母の姿。

私の顔を見ながら「寝てんのか、あ、起きてんのか?」と目で確認してくる。なんとも愛らしい。

「消費ばかりをしていると

人の心は病むんだよ。」

私の頭の中にはこの言葉がどデカく浮かんでいた。

たしかに人は消費ばかりをしていると病むと思う。

アパレルの仕事をしているとよく思う。

消費は何も、買い物をすることだけじゃない。

時間を消費する、労力を消費する

「消費」という言葉は様々な行動に当てはまる。

何かを大量に消費している姿を横で見続けるという行為も

消費する本人には劣るとも、精神衛生を蝕む行為なのだろうと思う。

店員しといてなんだけど

それを促し続ける仕事も長く続けていけたもんじゃないと思っている。

だから大学生のうちに手を出した。

この職業は学ぶことが多い。パフォーマンス面について、印象について、人が人に及ぼすプラスのエネルギーについて。

キラキラした女性は正義であるという方程式について。

愛すべき職業である一方で

この職業に携わる限りわたしは心の矛盾を無にできることは永遠にないと思う。

消費を促すことも

消費ばかりを求める心も

消費させるために生まれた可愛らしい物も

私の中で心の底から素晴らしいものだとは言えないからだ。

だから人には、何かを生産する行為が生きる上で大切なんだよなぁ。

「働く」もそうだし、誰かのためにご飯を作ったり、言葉を紡いだり

自分の心から何かを生み出すことで

人の心は満たされていく。

例えどんなに洋服が好きだとしても

消費しているばかりだと

静かに心は元気をなくしていくのだろう。

ムヒカ大統領の言う通り、貧しさとはお金がないことじゃなくて

「まだ足りない、まだ足りないと消費を求め続ける心のこと」だと。

生産と消費のバランスが取れると人の心は安定しやすい。

確かになぁ。現状安定しているわたしの心に問うてもそう思う。

「ライター」という職業は、かなり「生産」と距離の近い職業であるんじゃないか。と。

とはいえ「ライターです」なんて名乗りたいわけでもなく、名乗るほど大袈裟な仕事はしていない。

そもそもライターの定義についてもいろいろ思うことがあるけど

そんな話はまた今度。

何にしても学生である以上お小遣いを稼ぐアルバイトと同じ立ち位置だ。

それでも、ここにiPhoneがあれば「生産」に手を伸ばすことができる。

それも自分の名前を使って、「お金の生産」に直結する文章を綴る行為を許されるということは

文字を書くことを愛する人間にとって喜ばしいことだ。

お金のために書くわけではないが、言葉を価値として可視化できるお金の存在は少なくとも感動的なもの。

生産する場

を身近に持っていられると精神衛生は保ちやすいのかもしれないね。

でも

インターネット上で満たされたように見える承認欲求のなかに、愛情は存在しない

PV数や評価、コメントやいいね。

ライターなんかじゃなくてもSNSを使ってれば誰しも身近に持っているものだ。

自分のつぶやきや写真に対する

いいね!の数やコメントの数。

それらは確かに承認欲求を触発する。

感違いしそうになるけど

SNS上に確かな愛情なんてものは存在しない。存在できない。それがインターネットというものの限界だ。

どれほどこの先進化したとしても、確かな愛情なんてものはインターネット上で得ることは不可能だ。

愛情のようなものはたくさん存在する

それらは「わたし愛情ですよ」みたいな明らかな表情をしているけど中身は空洞で

疑似愛情とでも名付けてしまおう。

人はどれだけインターネット上で生産しても

承認欲求を埋めてくれるような疑似愛情によって心が満たされることはない。

じゃあ愛情ってどんなものかなぁ〜

と改めて考えてみようとした時

考えずとも目の前にあった洗濯物によって導き出された。

洗濯物の匂いの中に、確かな愛情が存在していた。

どんだけインターネット上で評価されようと

ポカポカに干された洗濯物の匂いには敵わない。

家族を思う愛情によって今朝も干された洗濯物は、確かな愛情を証明している。

あぁ、愛情ってここにあるわ。探さなくても、求めなくても。

この空間の中にある。

洗濯物も掛けられた毛布も、今朝掃除した床も「寝てる?起きてる?」と聞こえる声も

愛情はそこら中にある。

愛情って

誰かと共有する空間の中で生まれるもので

そこで初めて、触れ合えるものだ。

それが

人の心を豊かにする「愛」というエネルギーなのだと思う。

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